運命の恋を、君と…
「俊英、この後デートしない?」
朝食をとりながら、蓮花が言った。

「フフ…もちろん、いいよ!」

そして二人は、街に出掛けた。


指を絡めて繋ぎ合い、ゆっくり歩く。

「フフ…」
「ん?どうした?
なんか、蓮花がニコニコしてる(笑)」

「幸せだなぁーって!」
「そうだな!」

「こんな何気ないことが、凄く幸せ!」
微笑み見上げる。

「確かにな。
どうしても、欲が出るもんな…(笑)
今も、こんな風に手を繋いでるだけでも幸せなのに、キスしてぇなとか思っちまう」

「しないよ」

「わかってるっつうの!!
でも、家に帰ったらいいよな?」

「いいよ!
それにしても、俊英ってキス好きだよね?(笑)」

「“蓮花と”限定だがな!」

「そうじゃないと、困る!」

「そりゃそうだ!」



「━━━━俊?」
「ん?」

近くのカフェでお茶していると、女性が声をかけてきた。

(誰?)
蓮花が、目をパチパチして見上げる。

「あ、サラか」
少しめんどくさそうに答えた、俊英。

「俊英、どなた?」

「あー、クラブのホステスで大学ん時の元カノ」

「そっか…」
(クラブ…
そ、そうだよね…行くよね……
てか、元カノさんか……)

「俊、この人が今の?」

「あぁ」

「へぇー!」
マジマジと見られ、蓮花は俯いた。

「そんな見んなよ」

「あ、ごめんね!
また来てよ!お店!
一心くんと」

「気が向いたらな」

「じゃあ、来る気ないわね(笑)」

「は?」

「昔の俊なら、わかんないけど…
今の俊に“気が向くこと”ないだろうし(笑)」
意味深に俊英を見て言った、サラ。

「………」

「フフ…あんま、お邪魔しても悪いわね!
気が向かなくても、来てね!」

そう言ってサラは、手を振り去っていった。


「………さっぱりした人だね」
サラの後ろ姿を見ながら、蓮花が言う。

「あ、あぁ。まぁな」

「……………行かないで……」
蓮花は、窺うようにポツリと言った。

「は?行かねぇよ」
頭をポンポンと撫で、微笑む俊英。

「“気が向いたら”行くんでしょ?」

「サラの言う通り、そんな簡単に気が向かねぇよ。
しかも、蓮花のそんな顔見たら余計にな」

「え?」

「うーん。
サラの店は、課長がよく行っててさ。
どうしても付き合わないとならねぇことがあるから、絶対行かねぇって約束はできねぇ。
でも、それ以外では行かねぇ。
行きたくねぇもん」

微笑む俊英に、蓮花も安心したように微笑んだ。
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