運命の恋を、君と…
蓮花は震えていた。
必死に泣くのを我慢しているようだった。

その姿に俊英は、胸が締めつけられるような気持ちなる。

つい嫉妬して、蓮花を責めるような言い方をしてしまった自分を恥じた。

スマホを差し出してくる蓮花の手を優しく握った、俊英。
そして、頭を下げた。

「ごめん!!」

「え?俊英?」

「一心に、昨日蓮花がコクられたらしいって聞いてから、モヤモヤしてて……
そしたら蓮花が残業になるし、早く会いたくて迎えに来たら、知らない男と笑顔で手ぇ振ってて……
……………嫉妬したんだ。
だから、蓮花を責めるような言い方しちまった。
ごめん!!ごめんな!」

「………ううん。大丈夫!
俊英がわかってくれたのなら、全然大丈夫だよ!」

顔を上げると、蓮花が微笑んでいた。



後日。
俊英が仕事終わりに会社を出ると、顔見知りの女性がいた。

「ん?サラ?」
「お疲れ」

「どうした?」
「ちょっと、付き合ってよ」

「は?嫌だ」

「は?なんで?」

「早く蓮花に会いたいから」

「はぁ……
俊が、彼女にベタ惚れなのはわかったから!
いいでしょ!
元カノのよしみで、付き合って!」

「………」

「ね?俊!」

「はぁ…わかった」

俊英はサラに連れられ、サラの勤めるクラブに向かった。


「━━━━━━━でも、急になんで?」

「ごめんね。
同伴、みんなに断られてさぁー
でも今日、同伴必須日で……
切羽詰まってたの」

「ふーん」

「うわ…キモいくらいに、興味ないって顔(笑)」

「うん。ねぇよ」

「はぁ…
てか、嘘でいいからもっと楽しそうにしてくんない?」

「俺は、嘘はつけねぇの!」

「わかってるけど!
私だって俊に頼みたくなかったけど、ほんと誰もいなかったんだから、しかたなくなんだからね!」

「だからぁ!わかってるっつうの!」

「………ったく…で?何飲む?」

「ビール」

「ん。私もいい?」

「だめ」

「は?」

「………」

「………」

「……当たり前に飲めると思うな」

「………………
ほんっと…彼女さん、あんたのどこが良いんだろうねー」
呆れたように見て、嫌味を言うサラ。

「は?
つか、お前も元カノじゃん。
しかもお前からコクってきたんだし」

「私は“顔だけ”だもん」

「は?」

「だって俊、顔“だけは”良いんだもん!
俊より顔が良い男、未だかつて会ったことない」


「…………お前、俺のことバカにしてんの?」
ギロリと睨み付け言った。
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