運命の恋を、君と…
風呂から上がり、身体を俊英が拭こうとする。

「俊英、もういいよ(笑)
さすがに、身体動くし」

「フフ…だよな(笑)」

「ほんと、優しくなったね!」

「フッ…優しく“なった”ってなんだよ!
失礼だなー(笑)
まぁ、高校ん時はガキだったもんな(笑)
ひたすら、ワガママでがっついてたかも?(笑)」
ケラケラと笑いながら言う、俊英。

「14年も経てば、変わるよね?(笑)」

「あぁ、そうだな(笑)」


「━━━━朝飯、どうする?」
「ん?」

「どっか食いに行かね?
ほら、駅前のカフェのサンドイッチ、旨いし!」

「うん。
でも、一度着替えに帰りたいな」

「あぁ、そうだよな!」
二人は、蓮花のアパートに向かった。


「━━━━ちょっと待っててね!」
蓮花が着替えてる間、部屋を見渡していた俊英。

無駄な物の一切ない、殺風景な部屋だった。

蓮花が本当に住んでいるのか疑いたくなる程に。

「なんか、殺風景だな」
思わず、本音が出た。

「あー、ほとんど処分したの。
お母さんの物も厳選して、大きめの箱一つに収まるくらいにしたし」

「そっか…」

「それに引っ越す予定だったから、物も少ない方がいいかなって」

「は?蓮花、引っ越すの?何処に?」

「まだ、決まってない。
なかなかいい物件がなくて……」


「へぇー
………………
━━━━━だったら、俺ん家来れば?」


「え!?」
固まる、蓮花。

「え?」
俊英はあっけらかんとしている。

「俊英の…お家?」

「うん。
部屋、余ってるし。
物置きになってっから、荷物さえ退ければOK。
部屋は狭いが、ベッド置く必要ないし。
俺のベッドで一緒に寝れば問題ナッシング!」

「………」

「ん?蓮花?どうした?」

「本気で言ってるの?」

「俺が、嘘つくと思う?」

「ううん」

俊英は、真っ直ぐな人間。
嘘がつけない人間だ。
その言葉が相手を傷つけることになっても、相手が誰でも、思ったことははっきり伝える。
正直……蓮花は高校の時、傷ついたこともある。

取り繕ったり、回りくどい言い方もしない。

そこが良いところでもある。

「━━━━━てか!お前さぁ!
なんで、引っ越そうとしてるの?」

「え?」

「この家は、お袋さんとの思い出が詰まってんじゃねぇの?」

俊英が、真っ直ぐ蓮花を見つめていた。
< 9 / 61 >

この作品をシェア

pagetop