結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
飲みきれなかったら矢崎くんが飲めばいいし、問題ないだろう。

「なあ。
アイス食べたくない?」

「食べたーい!」

飲んだあとにアイスが食べたくなるのはセオリーなわけで。
今度はふたり仲良く並んでアイスのショーケースを眺める。

「あ、ダッツの新作出てる」

「じゃあそれにしようぜ」

さっさと矢崎くんは新作二種、かごに入れてしまった。

「これでOK?」

「OK」

返事を聞き、私からかごを取って彼はレジへ向かった。

「え、自分で払うよ」

「いいから。
夫婦になったんだし」

私を制し、矢崎くんは携帯を準備している。

「いや、でも」

「いいって言ってんだろ」

私たちの言いあいを気にとめることなく、店員は商品のバーコードを通していく。

「だか、ら……!」

〝それ〟のバーコードが通され、液晶に商品名が表示されたのを見た途端、固まった。
え、これってこんなに堂々と買うもんなんですか?
などと思っているのは、私が未経験だからなんだろうか。
いや、でも、男女ふたりで一緒に買うなんて、いかにも〝今からヤります!〟って感じじゃない?
でも、矢崎くんも普通だし、店員さんも平然としているし、これが当たり前なのかな……?
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