結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「ドッグラン、あるんだ」

抱っこしているイブキをちらり。
遊ばせてあげたいけれど、どうなんだろう。

「イブキにはまだちょっと早いかな」

それでも気になるのか、矢崎くんはドッグランへと近づいていった。

「予防接種、終わったばっかりだしな」

「そうだね」

今回の旅行はイブキを連れて回れる時期を待って計画した。
それでもまだ、無理はさせられないけれど。

「次、来たときはここで遊ばせられるな」

「喜んで駆け回りそうだね」

私の腕の中で、イブキは目をキラキラさせて駆け回る犬たちを見ている。
きっと自分も仲間に入りたいんだろうが、もうちょっと待ってね。
でも、そのときはママはいないんだ、ごめん。
パパと一緒に来てね。

車はもう少しだけ高速を走り、家を出て一時間ちょっとで目的地らしきところに着いた。

「ここ?」

「そう」

矢崎くんが車を停めたのは海辺にある、立派な豪邸の駐車場だった。
というか、ここはどこだ?
まさか、会長の家とかないと思いたい。
本人は入院中だし、サプライズで連れてきたりもしないだろう。

「祖父ちゃんの別荘なんだ。
ここならイブキも好きに過ごせるかなと思って、借りた」

「そうなんだ」

それを聞いて、少ししていた警戒を解いた。
< 137 / 193 >

この作品をシェア

pagetop