結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
何度懇願したって、紘希は私の言うことを聞いてくれない。

「嫌なら、どうしてほしいか言えって言っただろ?」

そんなの、わかっている。
でも、そう簡単に言えるものでもないのだ。

「ほら。
言わないとまたイくぞ」

「んっ、あっ」

自分でも絶頂が近いのがわかる。
しかしイったところでこのままだと、さらなる焦燥感が襲ってくるだけだ。

「ひろっ、き」

懇願するように彼を見上げるが、紘希は愉しそうに私を見ているだけでなにも言ってくれない。
もうこれ以上は耐えられないし、迷っている時間もない。
意を決して口を開く。

「紘希が、欲しいっ……!
ああーっ!」

その瞬間、何度目かの絶頂が訪れた。

「よく言えたな」

まだ荒い息をしている私の髪を、うっとりと彼が撫でてくれる。
それが嬉しくて私も笑っていた。

「じゃあ、いくぞ」

「……うん」

ゆっくりと彼が、私の胎内に入ってくる。
散々絶頂を味わわされたせいか、痛みはほとんどなかった。

「やっと純華とひとつになれた」

紘希の目が、泣き出しそうに歪む。

「私も紘希とひとつになれて、幸せだよ」

その顔にそっと、手を伸ばして触れた。

「ずっと大事にする。
愛してる、純華」

私を気遣うように、ゆっくりと彼が動き出す。
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