結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
そこからはズブズブに彼に溺れた。

心地いい疲れに浸り、ぴったりと紘希に寄り添う。

「めちゃめちゃ気持ちよかった」

あやすようにちゅっと、彼が口付けを落としてくる。

「よかったね」

私もあんなに、気持ちいいなんて思わなかった。
やっぱり、好きな人相手だからかな。

「子供、できたかなー?」

確認するように彼の手が私のお腹を撫でる。

「さすがにまだ早いよ」

それについ、くすくすと笑っていた。

「できてるといいなー」

願いを込めるように彼は、私のお腹を撫で続けた。
そうだね、できていたら私も嬉しい。

「じゃあ、俺は片付けてくるな」

少しまったりしたあと、紘希はベッドを出て軽く服を着た。

「ごめんね、お願い」

手伝うと言いたいが、まだ起き上がるのも億劫だ。

「いいって、俺のせいでもあるんだし。
先、寝ててもいいからな」

「うん、ありがとう」

私に口付けを落とし、紘希が部屋を出ていく。
それを笑顔で見送った。
ドアが閉まった途端、真顔になる。

「……ごめん、紘希」

浮かぶ涙を堪えようと、枕を抱いて丸くなった。
今日、紘希に抱かれたのは、彼とこれからもずっと一緒にいようと決めたからではない。
別れを決めたからだ。
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