結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「あんなことがあったからこの会社に入ろうって思ったし、それで紘希に出会えた。
きっとなにもなかったら、今頃全然別の会社で働いているかもだよ」

「……それは困るな」

彼は真剣に悩んでいて、おかしくなってくる。

「俺が純華に一目惚れしたのも、アイツの裁判だしな。
くっそー、複雑な心境だ」

「そうだね」

甘えるように彼の胸に額をつける。

「でも、紘希に会えたのだけはよかったと思ってる」

「俺も純華に出会えたのだけは、よかったと思う」

紘希の手が、私を上に向かせる。
少しのあいだ見つめあったあと、唇が重なった。
< 180 / 193 >

この作品をシェア

pagetop