結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
だって私は矢崎くんが嫌いというよりもほのかな恋心は抱いていて、ここに来るまではそれなりに幸せな気持ちだった。
「少しずつでいいから、俺を好きになってくれたら嬉しい」
「……ねえ」
寝返りを打って彼のほうを見る。
「なに?」
すぐに彼も私を見た。
薄暗い中、艶やかに光る彼の目が私を捉えている。
「離婚、しよう?」
矢崎くんからの返事はない。
沈黙に耐えかねてなにか言おうとしたら、ようやく彼が口を開いた。
「それは、俺が鏑木社長の甥だからか」
今度は私が黙る番だった。
その理由は当たっているが、はい、そうですと素直には答えられない。
「俺だってアイツの甥だなんて嫌だ。
でも、こればっかりはどうしようもないんだ。
それを理由に離婚なんて切り出されても困る」
苦しそうに矢崎くんの顔が歪み、私も息が詰まる。
私だって彼が、アイツとは違う、誠実で優しい人だって知っている。
でも、わかっていても感情では受け入れられないのだ。
「……ごめん」
沈黙。
「でも、私と離婚して」
「嫌だ」
起き上がった彼が、私を押さえつける。
彼の目には静かな焔が燃えていた。
「俺はずっと、純華と結婚したいと思っていた。
やっとその願いが叶ったんだ。
手放すわけがないだろ」
「少しずつでいいから、俺を好きになってくれたら嬉しい」
「……ねえ」
寝返りを打って彼のほうを見る。
「なに?」
すぐに彼も私を見た。
薄暗い中、艶やかに光る彼の目が私を捉えている。
「離婚、しよう?」
矢崎くんからの返事はない。
沈黙に耐えかねてなにか言おうとしたら、ようやく彼が口を開いた。
「それは、俺が鏑木社長の甥だからか」
今度は私が黙る番だった。
その理由は当たっているが、はい、そうですと素直には答えられない。
「俺だってアイツの甥だなんて嫌だ。
でも、こればっかりはどうしようもないんだ。
それを理由に離婚なんて切り出されても困る」
苦しそうに矢崎くんの顔が歪み、私も息が詰まる。
私だって彼が、アイツとは違う、誠実で優しい人だって知っている。
でも、わかっていても感情では受け入れられないのだ。
「……ごめん」
沈黙。
「でも、私と離婚して」
「嫌だ」
起き上がった彼が、私を押さえつける。
彼の目には静かな焔が燃えていた。
「俺はずっと、純華と結婚したいと思っていた。
やっとその願いが叶ったんだ。
手放すわけがないだろ」