結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
傾きながら近づいてくる顔を、ただじっと見ていた。
あの、形のいい唇が私の唇に重なり、離れていく。

「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」

私の顔をするりと撫で、右の口端を持ち上げて彼がにやりと笑う。
なにが〝眼鏡をかけた人〟がラッキーパーソンだ。
アンラッキーパーソンじゃないか。
やはり、占いとは外れるものなのだ。

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