【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
だから、大通りにある普通の職場では働けないし、宿にも泊まれないのだ。
お金もないしね……。
「死んだ時にだれにも名を知られないのは、あまりにもあわれだろう。
だから、もしもここの管理人になる覚悟があるのなら、名前を教えてほしいんだ」
マオは真剣な瞳で、わたしを見つめた。不思議な銀色の瞳に射抜かれる。
まるで、試されているみたいだ。
わたしは今まであったことを振り返る。
あの生活に戻るなんて、絶対にいやだ。
人によっては、それはただのわがままだというのかもしれない。
恵まれているのに、それを捨てたおろかものだと。
でも……。
それでも、人形のように生きる、あんな人生なんてまっぴらだった。
よし、決めた。
死んだ方がマシという覚悟で、別人になろうと思ったんじゃないか。
ここで、働き口と、住居を決めてやる。