【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

「悪い、遅れた」



 そこにいたのは、ヴァンだった。

 コズールの頭に足をのっけたまま、
 ぐりぐりとその頭を踏みにじっている。

 ヴァンはコズールが完全に気絶していることを確認すると、
 その肩掛けカバンからメロウの帽子を取り出した。

 やったー! あったよ!



「ほらよ、キヨコ。
エートが取り返した、おまえの帽子だ」



 ヴァンはそう言って、キヨコにむかって、帽子を放り投げる。

 キヨコはそれをキャッチして被ると、わっと泣き出した。



「わーん、エートちゃん! ありがとう! 
本当にありがとうねえええ!」



 ボロボロと涙が流れては、地面に吸いこまれて……、いかない。

 こん、こんと音を立てて地面に散らばる、白くてキラキラした、これは……。

 真珠!?

 えっ、これ、キヨコの涙が真珠になってるの!?
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