【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
ヴァンが美形で、近くに寄られると緊張するから?
「大丈夫だから! ひとりで歩けるから!」
みじろぎすると、さらにぎゅうっと抱きこまれた。
ヴァンの体温が、すっごく近くに感じられる。
あったかくて、ずっとこの腕の中にいたいって思うくらい心地いい。
「あー、うるせー。だまって運ばれてろ!」
「わたし、重いから!」
「重くねーよ。むしろ軽い。
……じゃなくて。あー……エート!」
「はいっ!?」
「悪ぃ、肝心な時に力になれなくて。
くそっ、なさけねえ……」
ヴァンはくやしそうに顔をゆがめた。
そのほほには、釣り針にひっかけられた傷。
「そんな、謝らなくてもいいよ!
コズールのやつ、毒なんてつかってさ。卑怯すぎ!」
「いや、完全なおれのミスだ。相手を甘く見てた」
そんなことない、という言葉をわたしはのみこんだ。