【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
2.カゼひきサラマンダー
「げほっ、ごほっ、すごい煙……!」
わたしは思わずせきこんだ。やっぱり、火事じゃん!
黒い煙が視界をさえぎって、ドアの向こうは何も見えない。
「おら、中行くぞ、エート」
そう言って、ヴァンは先にドアの内側に入って行ってしまった。わたしはあわてて後へ続く。
「え?」
足元から伝わる、じゃり、という感触。見ると、下は地面だった。
さっきまでは、木の板の廊下だったのに。
「あれ?」
おかしいな、天井がものすごく高い。しかも、岩だ。ごつごつしてて、岩のつららがいくつもある。
そして、暑い。なんという暑さだろう。まるで、真夏のような、いや、それ以上だ。
肌がヒリつくくらい、じわっとした暑さが襲ってくる。
燃えていたのは、どうやらそこかしこに生えている、ススキのような長い草のようだった。乾いているからよく燃えたのだろう。
ん? 建物に、草?
煙が少しずつ晴れていって……。
目の前に見えたのは、広い、広い石づくりの空間。
「……ええーー!?」
ここ、完全に洞窟じゃん! 部屋じゃないじゃん!
後ろを見ると、何もない空間にいきなりドアが浮かんでいた。
ドアの向こうには、さっきまでいたマンションの廊下が見える。
何これ!?