【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
 いつもだったら、わたしがこんなヘマをしたら、
 「マヌケだな」とか言ってからかってくるのに。

 ヴァンはつかつかとこちらに近づいてきた。



「マオ、手、どけろ。
オマエがやると、ますますからまっちまいそうだ」

「わかった」



 わたしのうしろでそんなやりとりをして、
 ヴァンは髪飾りをはずす作業にとりかかったようだ。

 丁寧に、わたしの髪がひっぱられて痛くないように……っていう、
 ヴァンの気遣いが伝わってくる。

 ふふふ、なんだかくすぐったい。

 あっという間に、マオにひっついていたわたしは自由になった。



「助かった。ヴァン、礼を言う」

「ありがとー、ヴァン」



 マオとふたりでお礼を言っても、
 ヴァンはどこかうわのそらというか……。

 「おー」と返事をして、
 「悪かったな、ジャマして」と、すぐにドアに向かっていった。

 え? ジャマって、どういうこと?

 というか、リンゴ! 
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