【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
せっかく、もうちょっとでむけるんだから、
ヴァンにそばにいてもらわなきゃ!
「待ってよ、ヴァン」
「あ?」
低い声。うーん、今日は虫の居所が悪いのかな。
「わたしね、マオにリンゴのむき方習ってたの!
もう少しでできるから、一緒に食べよう!」
「……リンゴ?」
ヴァンのけわしかった顔が、不思議そうな顔にかわる。
「うん!
あのね、わたし、初めて包丁つかったんだよ!
マオが教えてくれたの」
ヴァンに食べてもらうためにね!
って言葉はさすがに恥ずかしくて言えない。
「リンゴ……、そっか。なんだ、それでか」
ヴァンはなんだかほっとしたように言うと、ニヤッと笑った。
「その手に持ってるやつか。
ほとんどはマオにやってもらったんだろ?」
あれ? 機嫌、直った?
うーん、よくわかんないけどよかった。