【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

 やっぱり、気分がいい時に食べるとおいしいもんね。



「まあ、そうなんだけどさ。これからひとりでむいてみせるから。待ってて」

「へーへー」



 適当な返事をして、ヴァンは台所の壁にもたれかかった。

 よし、やるぞ!

 しゃりっと、わたしが包丁の刃をりんごに入れた時だった。



「そうだ。悪かったな、ヴァン。
おまえのものに勝手にベタベタ触って」

「っ!?」



 マオの発言に驚き、手がすべる。

 そのまま、包丁は予想外の方向に動いて……。

「あっ!」

 ちょっぴりだけど、手を切ってしまった。

 赤い血が、つうっと流れる。 

 すると、ヴァンがものすごい勢いで壁からはなれ、わたしの手をとった。

 切れた左手の親指。

 そこめがけて……。

 ぱくっ。

 ……へ?

 親指に感じる、あたたかな感触。

 ちゅ、と軽く吸われている。
< 166 / 303 >

この作品をシェア

pagetop