【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
やっぱり、気分がいい時に食べるとおいしいもんね。
「まあ、そうなんだけどさ。これからひとりでむいてみせるから。待ってて」
「へーへー」
適当な返事をして、ヴァンは台所の壁にもたれかかった。
よし、やるぞ!
しゃりっと、わたしが包丁の刃をりんごに入れた時だった。
「そうだ。悪かったな、ヴァン。
おまえのものに勝手にベタベタ触って」
「っ!?」
マオの発言に驚き、手がすべる。
そのまま、包丁は予想外の方向に動いて……。
「あっ!」
ちょっぴりだけど、手を切ってしまった。
赤い血が、つうっと流れる。
すると、ヴァンがものすごい勢いで壁からはなれ、わたしの手をとった。
切れた左手の親指。
そこめがけて……。
ぱくっ。
……へ?
親指に感じる、あたたかな感触。
ちゅ、と軽く吸われている。