【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
「ヴァン! エート!」
マオのするどい声で、はっとわれにかえる。
わたし、どうしちゃってたの?
ヴァンも、目に光がもどり、くわえていたわたしの指をぱっとはなした。
「あ、おれ……」
ヴァンは震える手で自分の耳をさわる。
耳が長くなったこと、先がとがっていることを確かめるように。
「……っ!」
そのまま、ヴァンは台所から飛び出して行ってしまった。
「大丈夫か、エート」
「う、うん」
さっきのは、なんだったんだろう。
なんか、頭の中がふんわりして、
いつまでもヴァンに血を吸っていてほしい、なんて思っちゃった。
たとえ、この体の血を吸われつくしてもかまわないって。
そんなことを考えてしまった自分が怖くて、思わず身震いする。
でも、それよりも気になったのは……。
「マオ、ヴァンのあの姿……」