【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
 
 もしもあの時動けなかったら、
 こんな風になごやかに話せなかったよ。

 ……なんで、あんなに速く動けたんだろう?

 火事場の馬鹿力ってヤツかなぁ。

 無言でそんなことを考えていると、
 「どうした?」とヴァンが声をかけてきた。



「いや、さっき、わたしすごく早く動けたでしょ? 
なんでかなって思って」

「ああ、そりゃシルフの羽の魔法効果だろ。
素早さが上がるんだ」

「え!?」



 そっか、髪飾りのシルフの羽……!

 ヴァンがつくってくれた、わたしの宝物。

 それが、こんな風にヴァンと話せるチャンスをつくってくれるなんて……。

 運命的なものを感じて、思わず胸が熱くなった。

 わたしの本当の思いが伝わらなかったのはちょっと残念。

 でも、ヴァンからの信頼をひしひしと感じられる今の状況も、
 とっても幸せだ。

 もうちょっと、この幸せにつかっていたいな……。
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