【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

 二回のノックは、トイレの確認用。

 三回のノックは、親しい人を訪れる時用。

 四回のノックは、礼儀が必要な相手用。

 それで間違いないはず。



「この裏路地で、そんなに礼儀を重んじるやつはいない。
その後の一礼も、おまえは普通に礼をするだけでなく、
しっかりとスカートの両すそを持ち上げていたな」



 ウソ、そんなところまで見られてたの?



「それに、ムドーを説得する時の会話。
あの言葉遣いは、裏路地にいるやつがそうそうできるものじゃない。
幼い頃に絵本を買い与えられていたというあたり、裕福な商人、
もしくはそれ以上の家庭の出身だ。
その時点で、入ってきていた情報と照らし合わせて、
おまえの正体はだいたい推測できていた」



 わたしはあぜんとして、ただマオを見つめるしかなかった。
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