【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~



「もしも、言いたくないなら、いい。
だが、おまえがそのヒミツを話すことで、
おれたちが力になれるかもしれない」



 心が揺れる。

 全部話してしまいたいという気持ちと、
 話しても無駄だという気持ちがせめぎ合う。



「エート」



 優しい声で呼ばれて、はっと顔を上げる。

 マオの手が、わたしの頭にぽんと置かれた。

 そのまま、ぽんぽんとなだめるように軽くたたかれる。

 それで、もう、限界だった。



「マオ、わたしは……。
わたしの、本当の名前は、エレオノーラ・ラクシューリカ。
……このラクシューリカ王国の、王女なの」




***




 わたしがエートになるまでにあったこと。

 それは、国王であるお父様に呼ばれたことから始まった。



「結婚、ですか?」

「そうだ、エレオノーラ。竜倒公爵(りゅうとうこうしゃく)
ウォルツ家の次男、アンダーソン公子(こうし)から申し出があってな。
おまえにはアンダーソン公子と結婚してもらう」
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