【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

 これをつければ、顔を見られても、まず王女だと気づかれないだろう。

 次は、服の調達。

 使用人たちが暮らす棟へ行き、
 メイド服が干されている庭から、
 黒いシンプルなワンピースとエプロンを一着ずつとってきた。

 わたしはしょっちゅう使用人棟に遊びに行っていたから、
 庭にいても怪しまれなかったんだよね。
 
 ワンピースとエプロンは、クルクルと丸めて、
 わたしの太ももあたりにリボンで固定。
 
 スカート部分がふんわりとふくらんだドレスは、
 ちょうどいい隠し場所になった。
 
 そして、庭師に頼み、庭にあったアカゾメの木から、
 実をたくさん取ってきてもらった。

 アカゾメの実は食用にもなるけれど、髪を赤く染めることができる。

 わたしの腰までのびた、桃色の髪……。

 お母様に似ていて、とても気に入っていたけれど、もうお別れだ。

 ジャキン。
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