【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~



「それで、『フローリア王女、アンダーソン公子と婚約』の知らせを聞き、
城にもどろうと思ったんだな」



 そう、わたしのかわいい妹、フローリア。

 まだ、十二歳のあの子が、
 わたしの代わりに、アンダーソンと婚約することになってしまう。

 それだけは、防ぎたかった。

 わたしが逃げても、だめだったのだ。

 わたしの代わりに、不幸になる妹がいる。

 そのことから目をそむけていままで生活してきた。

 ここで、このダンジョン・マンションの管理人の「エート」として、
 わたしだけが幸せになるなんて、できない。



「だから、マオ。わたしを、やめさせてください」



 わたしは、マオに頭を下げた。

 マオは……。



「分かった」



 と、言ってくれた。

 自分で言ったくせに、居場所を失ったような気がして、
 ぎゅうっと胸が締め付けられる。

 でも、仕方がないよね。
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