【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
すると、そこから淡い光がはなたれた。
ケルベロスの正気を失った目。
よだれをたらしている口。
それが、徐々に治まり、その目に光が戻っていく。
「ケルベロスよ、目を覚ませ」
初めて、魔王が口を開いた。
低くて、甘い、心地の良い声。
でも、この声、どこかで聞いたような……?
ケルベロスは魔王の腕から牙をはずす。
「ううう、正気に戻してくれたこと、感謝する」
わわっ、ケルベロスがしゃべった!
「ケルベロスよ。
おれのもとにつかないか?
おまえの尊厳を、あいつは奪ったのだぞ」
ケルベロスの首のあたりをなでながら、魔王はそうささやいた。
「……いや、そうはいかない。
わが身は、竜倒公爵殿にささげている。
竜倒公爵殿に、言われたのだ。
息子らを守ってやってくれ、と」