【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~


 
 すっとケルベロスは魔王からはなれると、
 再びアンダーソンを守るように立ちはだかった。



「たとえこの身朽(く)ち果(は)てようとも、
坊ちゃまはわれが守る」



 すごい。
 
 このケルベロス、立派な騎士だよ。

 それなのに、アンダーソンのやつ、
 興奮剤をつかってたわけ?

 ひどすぎる!



「そうか。
ならしかたがない。
おまえをスカウトするいい機会だと思ったんだがな。
……じゃあ、用も済んだし、おれは帰るか。
あいつらのケガも心配だしな」



 えっ、帰る?

 魔王の足元には、出てきたのと同じ時の黒い魔法陣。

 わたし、まだ帰還の呪文唱えてないのに!

 魔法陣から出る黒い雷に包まれながら、
 魔王はつぶやいた。



「アンダーソンの、尊厳を踏みにじる戦い方。
それには、おれも少々腹が立っているが……。
おれよりもずっと怒ってるやつがいるからな。
エート、あとは、若いもの同士でやってくれ」
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