【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
「エート」の名を呼ばれて、はっとする。
その名前は、
ダンジョン・マンションのみんなしか知らない偽名なのに……。
どうして、知ってるの?
わたしにずっと背を向けていた魔王が、こちらをふりむいた。
その顔は……。
「マ、マオ!?」
そうだ。
瞳は金色で、髪も長い。
耳も長くて先がとがってて、いつもと違うけど……。
確かに、マオだよ!
そう認識した瞬間、
夕日が完全に山に隠れ、夜がおとずれた。
「ちょ、ちょっと待って! マオ!」
わたしの言葉もむなしく、マオは魔法陣と一緒に消えてしまった。
急すぎて、頭が追いつかない……。
それは、観客やアンダーソン、
ケルベロスも同じみたいで、みんなぽかんとしていた。
「え? 魔王は……?」
「消えちまった」
「どうしたんだ?
あのケルベロスを圧倒してたのに」