【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~



「てめぇら……、よくも好き勝手してくれたな」



 ひえ。

 こ、こわい……! 

 笑ってるけど、背中にどす黒いオーラが見えるよ!



「また人型だ!」

「あれは、なんてモンスターだ!?」



 観客たちの声にはっとする。

 危ない、大事なこと忘れるところだった!



「ヴァン!」



 わたしは左手をすっと差し出す。

 ヴァンはわたしの手をうやうやしくにぎり、ひざまずいた。

 騎士が王女に忠誠を誓うように……。

 ちゅっと音を立てて、手の甲に口づける。

 これは、ヴァンがヴァンパイアの本性をコントロールするための、
 ある種の「儀式」だ。

 おのれの理性をたもち、ヴァン自身の意思でもって魔王化する。

 「エートの手に口づけて、その血を飲む」
 =「理性をもって魔王化する」。

 っていう風に、ヴァンの本能にすりこませるんだって。

 これはマオの提案だ。
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