【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

 わたしの瞳に、じわりと涙が浮かんでくる。

 だけど、みんなは笑顔のままだ。

 なんだか、そわそわ、うきうきしてるのが伝わってくる。

 ……どうして? 

 みんな、キヨコのことは、どうでもいいの?

 そう思っていた時だった。



「うわーん、エートちゃん、お帰りいいい!」



 わたしは、がばっとだれかに抱きしめられた。

 え!?

 こ、この声は……。



「キヨコ!?」



 あの時消えた、キヨコが今ここにいた。
 えええ、どうなってるの!?



「エートちゃん、心配させちゃって、ごめんね」



 びっくりしすぎて、わたしの涙はひっこんでしまった。



「わたしたちモンスターには、
『退避』の呪文がマオによってきざまれているの。
命が危険になると、魔力のこもった体の一部と引きかえに、
自動的にダンジョンの安全な場所に移動するようになっているのよ」
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