【完結】お試しダンジョンの管理人 ~イケメンたちとお仕事がんばってます!~
むう、そんなこと言ったって、鏡もないし、
見えないんだからしかたないじゃん!
わたしがむくれていると、
ヴァンはタオルを持ってこっちに近づいてきた。
「ほら。ふいてやるよ」
「え、い、いいよ。タオルくれれば」
恥ずかしくって断るも、ヴァンはおかまいなしだ。
「いいから。こっち向け」
ヴァンはわたしのあごを片手でくいっと持ち上げると、
もう片方の手でタオルでぬぐってくれた。
「いたたた、力強いよ、ヴァン!」
あと、顔、近い!
わたしが痛いのと照れくさいのとで真っ赤になると、
ヴァンはまた「トマトみてえ」って言って、ニヤリと笑った。
うー、この、わざと強くこすったな!
頭に来たわたしは、床の泥を手ですくい、
ばしゃっとヴァンに向かってかけた。
「うわっ、テメー、何すんだ!」