あやかしの甘い束縛
私、八雲美琴(やぐもみこと)(旧姓月島美琴(つきしまみこと))は
１年前にこの八雲旅館の跡取り息子の八雲庄之助(やぐもしょうのすけ)と結婚をした。

そして、結婚と同時にこの旅館の若女将として働きだしたのだ。

庄ちゃんとは高校時代の同級生だった。

高校三年のときに同じクラスで席も隣同士になったことがきっかけで
話すようになり、庄ちゃんから告白されて付き合うようになったのだ。

初めてできた彼氏に当時の私は、かなり浮かれていたのを今でも覚えている。

お互い、初めてのお付き合いに初々しさもあったと思う。

あの頃は、二人で花火大会に行ったり、一緒に図書館で勉強したり
庄ちゃんはとても優しかった。


そして、高校を卒業した私は幼い頃から動物や生き物が大好きだったこともあり、動物に関わる仕事に就きたくてトリマーの資格を習得するため専門学校へ通い始めたのだ。

庄ちゃんはというと、経営学を学ぶため、地元の私立大学に進学したのだ。

学校は別々になったものの、私たちの交際は至って順調だった。

しかし、私が専門学校を卒業したのをきっかけに庄ちゃんにプロポーズされたのだ。

そして、夢は諦めて旅館の若女将として働いてほしいと頼まれた。


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