恋人は謎の冒険者
(あれ? 私、いつの間に寝ちゃったんだろう)
気がつくと朝になっていて、マリベルは自分の寝台で目を覚ました。
(えっと…確か、フェルさんとご飯を食べて、それから…)
彼とのキスを思い出して一気に体温が上がった。
(そうだ、私、フェルさんと…でも、その後どうしたっけ…)
彼の腕に包み込むように抱かれて、彼も自分と同じくらいドキドキしていたのを感じた。
でもそれからどうなったか覚えていない。
(え、まさか、寝落ち? そんな子供みたいなことある?)
しかし、いくら考えてもキスから後の記憶がない。そこだけスッポリ抜け落ちたようだ。
(それとも…気絶しちゃった?)
それほど彼とのキスが気持ち良かった記憶はある。
唇から伝わる彼の熱が全身に拡がり、足の先まで痺れるような快感だった。
それはまるで、彼に新たな命を吹き込まれているような、何とも形容し難い感覚。
(あんなの初めて…)
不器用さは否めないのに、なぜか心に響く。マリベルは彼とのキスを思い出し、唇にそっと手を当てた。
(もっとしたいと思うなんて、私って実は淫乱?)
しかも、キス以上のことも期待してしまっている。
「あ、急がなくちゃ」
起きて仕事に行く支度をするため、寝台から急いで降りた。
「あれ、何だか体が軽い」
医務室で仕事をした日の次の日は、魔力を使ったせいか体が少し怠いと感じた。しかも昨日はいつもよりたくさん治療したので、軽く魔力不足を覚悟していたのに。
今朝はいつも以上に軽やかだった。
「何でかな…」
自分の魔力量が増えたのだろうか。測定器がないためわからないが、レベルが上がるほどの経験値は積めていないはずだ。
考えられるのは、フェルとのキスだ。
彼とのキスで、彼の魔力が彼女に流れ込んだとも考えられる。
(でも、他人の魔力なんて合う合わないがあるから、簡単には交換しあえない筈なのに…)
枯渇するまで魔力を使い切っているならいざ知らず、自分の魔力が残っている中で他人の魔力が混ざれば、そこに違和感を感じるはず。それぞれ魔力には個人の色というものがあるからだ。
人を呼んでおいて、キスまでしたのに寝落ちなんて、申し訳なかった。怒っていないだろうかと思いながら、急いで着替えてフェルの借りている部屋の扉を叩いたが、二度呼びかけても中から返事はなかった。
(出かけちゃったのかな)
会って呆れられた顔をされたらどうしようかと思っていたが、いないとなるとそれはそれで残念に思う。
こんな朝早くからどこへ行ったのかなと思いながら、マリベルはギルドへと向かった。
「ちょっと、マリベル! どういうことよ」
あと少しでギルドに着くというところで、マリベルはプリシラに待ち伏せされた。
気がつくと朝になっていて、マリベルは自分の寝台で目を覚ました。
(えっと…確か、フェルさんとご飯を食べて、それから…)
彼とのキスを思い出して一気に体温が上がった。
(そうだ、私、フェルさんと…でも、その後どうしたっけ…)
彼の腕に包み込むように抱かれて、彼も自分と同じくらいドキドキしていたのを感じた。
でもそれからどうなったか覚えていない。
(え、まさか、寝落ち? そんな子供みたいなことある?)
しかし、いくら考えてもキスから後の記憶がない。そこだけスッポリ抜け落ちたようだ。
(それとも…気絶しちゃった?)
それほど彼とのキスが気持ち良かった記憶はある。
唇から伝わる彼の熱が全身に拡がり、足の先まで痺れるような快感だった。
それはまるで、彼に新たな命を吹き込まれているような、何とも形容し難い感覚。
(あんなの初めて…)
不器用さは否めないのに、なぜか心に響く。マリベルは彼とのキスを思い出し、唇にそっと手を当てた。
(もっとしたいと思うなんて、私って実は淫乱?)
しかも、キス以上のことも期待してしまっている。
「あ、急がなくちゃ」
起きて仕事に行く支度をするため、寝台から急いで降りた。
「あれ、何だか体が軽い」
医務室で仕事をした日の次の日は、魔力を使ったせいか体が少し怠いと感じた。しかも昨日はいつもよりたくさん治療したので、軽く魔力不足を覚悟していたのに。
今朝はいつも以上に軽やかだった。
「何でかな…」
自分の魔力量が増えたのだろうか。測定器がないためわからないが、レベルが上がるほどの経験値は積めていないはずだ。
考えられるのは、フェルとのキスだ。
彼とのキスで、彼の魔力が彼女に流れ込んだとも考えられる。
(でも、他人の魔力なんて合う合わないがあるから、簡単には交換しあえない筈なのに…)
枯渇するまで魔力を使い切っているならいざ知らず、自分の魔力が残っている中で他人の魔力が混ざれば、そこに違和感を感じるはず。それぞれ魔力には個人の色というものがあるからだ。
人を呼んでおいて、キスまでしたのに寝落ちなんて、申し訳なかった。怒っていないだろうかと思いながら、急いで着替えてフェルの借りている部屋の扉を叩いたが、二度呼びかけても中から返事はなかった。
(出かけちゃったのかな)
会って呆れられた顔をされたらどうしようかと思っていたが、いないとなるとそれはそれで残念に思う。
こんな朝早くからどこへ行ったのかなと思いながら、マリベルはギルドへと向かった。
「ちょっと、マリベル! どういうことよ」
あと少しでギルドに着くというところで、マリベルはプリシラに待ち伏せされた。