親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
11、クロウディア家
僕目を覚ますと、すぐに体を起こした。そして、辺りを見渡す。
見慣れた、僕の部屋だ。元の世界に帰って来れたことに、僕は安心する。
ふと首周りに違和感があって、僕は近くにあった窓で姿を確認した。
「……髪が……伸び、てる……?」
短かったはずの髪は肩辺りまで伸びてて、僕は驚く。それと同時に、僕の姿をした八咫烏も同じくらいの髪の長さだったことを思い出した。
……髪が伸びたのって、試練をクリアしたことに何か関係があるのか?
『主人、目が覚めたのですね』
不意に八咫烏の声が聞こえてきて、僕は声がした方に顔を向ける。八咫烏は、さっきまでの人型とは違って、カラスの姿に戻ってた。
「……八咫烏……ねぇ、何で髪が伸びてんの?」
『知りません。呪具の力をすべて主人に貸すことにしたからじゃないですか?前の主人も、呪具使いになったら、髪が伸びたって言ってましたし』
「そうなんだ……」
八咫烏の返答から、八咫烏自身も分からないということが分かって、僕はこれ以上何も言わないことにした。
「そういや、皆は……」
『クロード様の部屋に集まっています』
八咫烏は、皆のいる場所を教えてくれる。僕は「とりあえず、僕も父様の部屋に向かうか」と呟くと、杖を片手に父様の部屋に向かった。
その間、僕は八咫烏に試練の最中に思ってたことを正直に話す。
漠然とした不安があったこと、八咫烏からされた質問で悩んでたこととかを。