親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

｢……とある、場所……？｣

『はい。その場所じゃないと、私たちは元の姿には戻れませんので』

八咫烏の言葉に、僕は｢……分かったよ｣と頷く。

『……では、そろそろ大魔王についてお話をしますね』

いずなの言葉に、僕は無言で頷いた。

『大魔王の正体、それは……ルーチェ様の実の父親にあたる人物です』

｢え……？｣

｢ちょっと待って。ルーチェの実の父親って……どういうこと？｣

『……そのままの意味です。彼は、破壊神と呼ばれたモンスターを復活させようと企む大魔王です』

いずながそう言うと、父様は｢破壊神だって！？｣と驚いた声を出す。

｢確か、破壊神って……数百年前に封印されたモンスターよね。あの魔王ですらも恐れる……｣

｢魔王の中でも、破壊神の復活は禁忌とされているはずだよね……｣

母様と父様の会話を聞いてたティムは｢あの……｣と声をかけた。父様は｢どうしたの？｣とティムの方を見る。

｢破壊神って、何ですか？｣

｢破壊神は、数百年前に世界を滅ぼそうとしたモンスターだ。当時の人々の手によって、封印されたと言われている。さっきも言った通り、魔王の中でも破壊神の復活は禁忌としている。魔王たちは、自分たちの手で世界征服をしたいからね｣