親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
「そんな……そのモンスターが復活したら……」

「うん。間違いなく、世界は滅びるだろうね」

父様の言葉に、皆は黙り込んでしまう。重い空気が漂う中、僕は口を開いた。

「そんなの、駄目だよ……大魔王の目的を知った僕らが、大魔王を止めないと。父様もクラル様も、この世界が好きなんでしょう?世界平和を目指して、今まで頑張ってきたんでしょう?それなのに、ここで諦めるつもりですか?」

「……ルーチェ……」

「僕は、嫌だ……世界が滅びるなんて。大魔王を、放っておくことなんて出来ない!」

僕の言葉に、父様は一瞬驚いた顔を見せたあと、ふっと微笑む。

「確かに、ルーチェの言う通りだね。まだ大魔王が破壊神を復活させたって確定はしてないし……今から行動すれば、阻止できるかも。そのためにも、まずはクラルを助けないとね……まずは、クラルの居場所を探すことから始めないと」

そう言ってから、父様は考え込み始めた。

「ビオラさんは、クラル様を返して欲しかったら大魔王の所まで来い、と言ってましたよね。大魔王の居場所さえ分かれば…………僕の実の母親なら、何か知ってるのかな」

僕が呟くと、父様は「どうだろうね。正体すら知らない可能性だってある」と返す。
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