親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

｢ですが、大魔王に近い人物といえば、実の母親かビオラさんくらいしか思い浮かびません｣

僕と父様の2人で話してると、アーサーが｢実際に確かめに行ったらどうだ？｣と話しかけた。

｢……この話し合いが終わったら、ルーチェは八咫烏たちと出かけるんだろ？その帰りにでも、寄って来たらどうだ？｣

｢そうだね。考えてるだけじゃ、駄目な時だってあるもんね……いずなに八咫烏、他にも話すことはまだある？｣

『ありますが、皆に話しておかなければならないことは、これくらいでしょうか……』

｢分かった。なら、僕を八咫烏が言ってた場所に連れてって｣

僕がいずなと八咫烏に向かってそう言うと、2人は同時に『分かりました』と返事した。



『着きました。ここです』

八咫烏に連れて来られたのは、僕の家から大分離れた場所にある、元々クロウディア家が住んでいたらしい古びた屋敷だった。

この近くに、八咫烏の前の主人ーーレイチェル・クロウディアが眠ってるらしい。

『……懐かしいですね。私といずなは、前の主人……レイチェル様に仕えていた時は、ここで暮らしていました……さぁ、主人。行きましょう』

｢おい、君たち。そこで何をしている？｣

僕が八咫烏の後をついて歩こうとした時、後ろから声をかけられて、僕は勢いよく振り返る。

そこには、白い毛並みに綺麗な紫色の目が特徴的な、大きなモンスターがいた。