親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

『……誰かと思えば、呪具の化身じゃないか。そこにいるのは……ほう。クロウディア家の……』

『誰かと思えば、よくレイチェル様にイタズラをしていたモンスターではありませんか』

｢え？知り合い？｣

僕が首を傾げると、八咫烏は『はい。私がレイチェル様に仕えていた時に、クロウディア家にいたモンスターです』と説明してくれる。

『俺は、もう数百年は生きているモンスターだ。君は？』

｢ルーチェ・クロウディアです｣

僕が自己紹介をすると、モンスターは『この俺を見ても、驚かないんだね？』と僕を見つめた。

｢……驚くって、何に？｣

もしかして、モンスターが喋ることに？僕の家に喋るモンスターとかがいるから、慣れてるんだよねぇ……驚いて欲しかったなら、ごめん。

『……いや、何でもない。考えてみれば、あいつらが喋るんだ。驚かないのも無理はない……か。それで、ここに何の用なの？……もしかして、あれか？呪具の一体化に来たのかい？』

いずなと八咫烏、そして僕を見て、モンスターは言った。

『そうです』

『そうかい……しかし、またクロウディア家の人間が、あの呪具を手にするなんてね。何かの運命なのか？』

『どうでしょうね。私からは、何も言えません』