親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
八咫烏に言われた通りに、背負ってた杖を片手に持って、僕は杖と指輪を魔法円の真ん中に置いた。

そして、両手を組んでから八咫烏に教わった呪文を唱える。

すると、魔法円が強い光を放った。床に置いてたはずの呪具が宙に浮く。

指輪型の呪具が光を放って消えると、杖型の呪具の形状が少しだけ変わった。今までなかった装飾品が、杖に付いてる。

杖は、僕のもとまで飛んできた。僕は、それを手に取る。

『それが、その呪具の本来の姿です。その杖の能力は、空を飛ぶ力。そして、もう1つ……いずなが化身の指輪型の呪具の、呪いに完全耐性になるという効果が付与されています』

八咫烏の声が聞こえてきて、僕は声がした方を見る。

「……完全耐性……」

『はい。つまり、主人はありとあらゆる呪いにかからなくなった、ということです。そして、杖さえあれば主人は私に頼らなくても空を飛べるようになりました』

「……空を……」

『物は試しです。帰りは、その力を使ってみましょうか。一旦、外へ出ましょう』

八咫烏の言葉に、僕は杖を背負ってから歩き出した。モンスターを先頭に。

外に出て、僕はモンスターにお礼を言う。モンスターは『どういたしまして。またいつでも来てよね』と言ってから、僕らに背を向けて歩き出した。
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