親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

『主人、私が先程教えた呪文を唱えてください』

モンスターが去ってくのを見つめてたら、八咫烏に促されて、僕は呪文を唱える。次の瞬間、ふわりと体が浮いた。

『ルーチェ様、すごいです』

後ろの方からいずなの声が聞こえてきて、僕は振り返る。すると、光り輝く巨大な羽が視界に入った。

｢何？この羽……｣

『これは、呪具の能力によって生み出された羽です。この羽がある間だけ、空を飛ぶことが出来ます。一度着地すると、自動的に効果が切れて飛べなくなるので気を付けてください。それでは、練習がてら……主人の実家へ……リンドウへ向かいますか』

八咫烏の言葉に、僕は頷いた。



リンドウの近くの人気のない場所に着地して、僕は後ろを見て確認する。さっきまであった光の羽は消えてた。

移動中、八咫烏といずなも元の姿に戻ると思ってたと言ったら、呪具が元の姿に戻ったばかりなのと、まだ僕がこの呪具の力に慣れてないというのもあって、元の姿に戻れないって言ってた。

いつかは、元の姿に戻るとも言ってたよ。

｢本当に消えてる……というか、久しぶりにここに来るな……｣

そう呟いて、僕はリンドウに向かう。そして、記憶を頼りに僕の生まれた家へと向かった。

｢……ルーチェ？｣

｢どうも……お久しぶり、です｣

家の前で僕の生みの母親と会って、僕は挨拶をする。

｢久しぶりだね。今日は、どうしてここに来たの？｣

生みの母親の問いかけに、僕は｢僕の実の父親について知りたくて……｣と答えた。

｢……なるほどね。分かった。家に入りなさい｣