親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

生みの母親に促されて、僕は家に入る。僕の生みの母親は、エレノア・クロウディアと名乗った。周りからは、エレナと呼ばれてるらしい。

僕が案内されたのは、リビングだった。

｢適当に座っててよ。少しだけ待っててくれる？｣

エレナさんの言葉に、僕は｢いいですよ。急に来たわけですし……ゆっくりで大丈夫です｣と微笑む。

｢ありがとう。助かる｣

そう言って、エレナさんはリビングを出てった。エレナさんを待ってる間、僕は目に止まった、リビングに飾られた写真を眺める。

それを眺めてると、エレナさんが戻ってきたのか、近くから声がした。

｢……これ……｣

｢これは、ルーチェがいなくなる前に家族全員で撮った写真だよ｣

そう言って、エレナさんは誰が誰なのか教えてくれる。まだ僕が2歳くらいの時に撮った写真らしい。

写真に写る、笑顔の黒髪に紫色の瞳の男性が、僕の実の父親で、名前はルカ・クロウディアというそうだ。

……大魔王は、ルカさんって言うんだ……ビオラさんが言ってた、ルシフェルさんって人かと思ってた……じゃあ、ルシフェルさんって誰なんだ？

｢……ルーチェはルカのことを知りたくて、ここに来たんだよね？｣

エレナさんの言葉に、僕は頷いた。

｢でも、どうして急に？｣

｢……えっと……｣

僕がどう答えていいか困ってると、エレナさんは｢もしかして、ルカが大魔王だと知った、から……？｣と僕を見つめる。