親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
「……羨ましく……気付かなくて、ごめんなさい。クラル様や父様や母様は、僕よりも年上だから……敬語じゃないと駄目なのかなって勝手に思っただけで……年上に敬語じゃないのは、変な感じがして……さん付けだったのは、僕の転生前からの癖なので、そこは気にして頂かなくても」

僕の発言に何か違和感があったのか、クラル様は首を傾げる。そこで、僕はあることに気づく。

……そうか。クラル様には、まだ話してなかったっけ。僕が転生者であること。

僕は、クラル様にも僕が転生者であることを話した。それを父様たちも知ってること、話すことになった経緯も。

「……ルーチェが、異世界から……ありがとう。すごく勇気のいることを話してくれて。僕は、信じるよ」

クラル様はそう言ってくれて、僕は「ありがとうございます」と微笑む。

「本当は、転生前のルーチェのことを知りたいところだけど……今は、破壊神の復活を止めることを最優先にしないと……ルカさんのところに、戻ろうか」

クラル様は立ち上がると、部屋から出ようと歩き出した。そして、立ち止まって僕の方を見る。

「……ルーチェ、ありがとう。僕の話を聞いてくれて。ルーチェの気持ちも知れたし、スッキリした」

「どういたしまして。クラル様も話してくれて、ありがとうございます……あの、クラル様。僕からお願いがあるんですけど、いいですか?」
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