親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

僕がそう言うと、クラル様は「お願い？」と首を傾げた。

「……もし、何かあれば、またこうやって話して欲しいなって……」

「……いいよ。その代わり、僕のお願いを聞いてくれる？」

「……お願い、ですか？」

「そう。何かあれば、すぐにルーチェに相談する。その代わり、僕にも敬語を使わないで話して欲しいなって……難しいなら、2人きりの時だけでも構わない」

クラル様の言葉に、僕は微笑むと「分かりました」と答える。

……敬語を外すって……大丈夫かな。ちゃんと、外して話せるか？長年、敬語だったから緊張する……試しに、今から話してみようかな……？

「……早く、父様たちの部屋に戻ろうよ。クラル様……2人とも、待ってるんじゃ、ないかな」

僕が敬語を外して話してみると、クラル様は驚いたような顔を一瞬見せたあと、嬉しそうに笑った。

「……こんな感じで、どう？変じゃない？長年敬語だった、から……変な感じがします……いや、変な感じがする……」

所々敬語が出そうになりながら、僕は頑張って話してみる。

「全然変じゃないよ。ルーチェ、無理して話す必要はないんだからね？」

「はい。でも、今から慣れておかないと……いつまで経っても、敬語なしで話せるようにならないと思いま……思って……」