親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
父様が話し終えると、レオンさんは「……何だか、クロードらしいな」と呟く。

「俺が魔王だって知っている人は、俺のことを避けているけど……俺は、魔王になったことを後悔していない。だって、魔王を止めれるのは俺だけだから」

そう言って、父様は笑った。その笑顔は、どこかクラルさんに似ている。

「……俺さ。1つ、夢が出来たんだよ」

少し無言でいた父様は、口を開いた。

「俺、魔王たちを束ねる大魔王になって……他の魔王たちの悪巧みを阻止する。そのために、俺は一旦魔王の座を降りようと思う……魔王をしながら、大魔王の座を狙うのは大変だから……まぁ、ルーチェも俺の子どももまだ小さいから数年後になるだろうけど……」

「それは、一大決心だな。うん、でも……クロードが大魔王なら、俺らも安心できるよ。なれるといいね。大魔王に」

父様に向かって微笑んだレオンさんは、僕に顔を向ける。

「ルーチェくん、ごめんね。ずっと、君のお父さんと話し込んじゃって……ルーチェくんとも話したいんだけど、大丈夫かな?」

「はい。大丈夫ですよ」

僕が微笑むと、レオンさんは笑みを崩さずに「ありがとう」と言った。

「ルーチェくんは、将来何になりたいの?」

「……大賢者になりたいです」

僕が正直に答えると、レオンさんは「へぇ」と面白い、と言いたげに笑う。
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