親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

もう何回も読んだ、この本の魅力を僕は語る。多分、2人が引くくらいにはいっぱい語ったと思う。いっぱい語れて満足した。

「……他にも、おすすめの本はいっぱいあってね？」

そう言って、僕は再び机に積まれた本に手を伸ばす。それを、ティムが止めた。

「僕ら、あまり本を読まないから、おすすめは1冊で十分だから……」

「……そう？次に、異世界転生した主人公たちの友情ものを紹介しようと思ってたんだけど……」

その言葉に、アーサーは「それ、面白そうだな」と興味津々といった感じで僕を見つめる。

「僕も気になる」

僕は机に積まれた本の中から、さっきとは別の本を取りだした。この本も、何回も読んだものの1つだ。

「これは、異世界に転生した主人公が、転生した先で主人公と同じように異世界に転生したという人物と出会って……助け合ったり、時には喧嘩をして、最終的には相棒になる。すごく感動する物語なんだ」

「……異世界転生か。そういや、僕らも昔はこことは違う世界の住民で……この世界に転生して……」

ティムは、どこか懐かしむように言う。

「そうだ！今から、皆で思い出を語ろうよ！」

僕の提案に、2人は賛成した。2人は、転生してからの楽しかったことを色々と話してくれる。