親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
「クロード?」

女性は立ち止まって、ゆっくりと僕らの方を見る。女性は、クラルさんと同じ赤い目をしている。

「……その子、どうしたの?」

「さっき、クラルが見つけた子だよ。多分、クロウディア家の人間」

「あの子、またパパの言いつけを破って1人で外に出たのね?……一体、誰に似たのかしら……」

女性の言葉に、クラルさんのお父さんは「……俺だな」とどこか気まずそうに返した。

少しの間クラルさんのお父さんを見つめていた女性は、僕に近づくと僕の前でしゃがむ。

「……自己紹介するわね。私は、ノアと言うの。この方……魔王クロードの側近兼妻よ……この魔王様は、優しいから心配しなくてもいいわ」

僕の頭を撫でながら、女性――ノアさんは自己紹介をした。

「……ノア、少し大事な話があるんだけど……」

クラルさんのお父さん――クロードさんの言葉に、ノアさんは「……分かったわ」と頷く。

「少し待ってて。この子を、リルに預けてくる……って、ん?」

「どうしたの?」

「君、服のポケットに何か入ってるよ」

クロードさんの言葉に、僕は「え?」と声を出してから服に付いたポケットを見た。ポケットから折りたたまれた紙が飛び出してるのが見えて、僕はそれをポケットから取り出す。
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