親愛なる魔王の君へ~転生したので、魔王の側近になります!~
「……クロウディア家の家紋……ちょっと、俺に見せてもらってもいい?」

クロードさんの言葉に、僕は紙をクロードさんに渡した。

クロードさんは、紙を広げてそれを見つめる。

「…………なるほど」

「どうしたの?」

「何でもない。さぁ、リルのところに行こうか」

紙を折り畳んでから服のポケットに入れたクロードさんは、そう言って外に向かって歩き始めた。




「……疲れた……」

夜。

僕は、クロードさんの自室に引かれた布団で横になっていた。隣では、クラルさんとクロードさんが寝ている。

あの後、僕はクロードさんの家族としてこの家で過ごすことになった。

どうやら、現在4歳の僕は呪い耐性が高い故に捨てられたらしい。僕のポケットに入っていた紙に、そう書いてあった……らしい。

……うん。僕……絶対、異世界転生してる……ということは、あの事故で僕は死んだんだ……。

そんなことを考えながら、僕は寝返りを打つ。クロードさんの寝顔が、僕の目に入った。

……魔王……かぁ。全然魔王に見えないな。

ここに来てまだ1日も経ってないけど、クロードさんは、クラルさんは……僕の想像する魔王とは全く違うということは分かった。
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