親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

「……珍しいな。クラル様が、ご飯を食べる前に部屋を出てくの……」

僕は部屋のドアを見つめながら呟く。少し経ったあと、父様は「……クラルの様子を見てくる」と部屋を出ていった。

「……ご飯出来たわよ……って、あれ？クラルとクロードは？」

母様の声がして、僕は母様の方を向く。

「クラル様と父様なら、先程部屋を出ていきました。また戻ってくるとは言ってましたが……」

「……そうなのね。私、ご飯出来たことを2人に伝えてくるわ。皆は、先に食べててちょうだい」

母様は、僕らにそう言うと部屋を出ていった。途端、周りは静かになる。

「…………どうする？先に食べる？」

レオンさんの言葉に、僕は首を横に振った。

「僕は、皆が揃ってからにします」

僕がそう答えると、アーサーとティムも同じ意見だったらしく、皆の答えを聞いたレオンさんは「じゃあ、皆を待とうか」と微笑んだ。



昼ご飯を食べて少し経った後、僕とアーサーとティム、そしてレオンさんとカラミティよりも遠くにある町・リンドウに来ていた。

リンドウは、別名「魔導師の町」と呼ばれてるらしい。

そのリンドウにレオンさんは用事があるらしくて、レオンさんの提案で僕らも来ることになったんだ。