親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

「……ルーチェ・クロウディアです」

「そうだったな……俺は、ずっとお前に会いたかった」

カナタさんは、真剣な目を僕に向ける。エリカさんは「カナタ、いきなりはダメだよ」とカナタさんを見た。

「それもそうだな。俺とエリカは、転生者だ。そして、転生前はお前の……望月光の両親だった」

カナタさんの口から出た言葉に、僕は驚く。

「信じられないって顔をしてるけど、本当のことだよ。ちなみに、光がこの世界で生きてることと今の名前は転生する直前に神様から聞いた」

……信じ難い話だけど、僕の転生前の名前を知ってるんだ。これは、信じるしかないな。

「……だから、僕の名前を聞いた時だけあの反応をしたのか……」

「そういうことだ。まさか、会えるとは思ってなかったがな」

「ルーチェ！！」

話をしてると、後ろから叫び声が聞こえる。

僕は息を吐いてから背負ってた杖を手に取ると、振り向きながら魔法で盾を作り出して、モンスターの攻撃を防いだ。

「……邪魔、しないでくれない？」

そう言って杖を構えると、杖に魔力を込める。ゆっくりと目を閉じて、詠唱を始めた。ふわりと、風が吹く。

詠唱が終わって、僕はゆっくりと目を開いた。杖先に、黒い稲妻が走ってる。アーサーがモンスターと戦ってるのが、見えた。