親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

「……そんなことが、あったのか……」

そう呟いて、カナタさんは何かを考えた。

「もしかして、何か悪いことが起こる前兆だったりするのか？」

「…………前兆、か……でも、そう考えるのが妥当だよね……」

カナタさんの呟きに、僕はそう返す。

「……何が起こるか分からない今、考えていても何か対処法が出てくる訳でもないし……とりあえず、今は避難所に戻らない？」

ティムの提案に、僕は「そうだね」と頷いた。カナタさんは「3人とも、俺らは皆の前では子どものフリをしているんだからな。それだけは、忘れんなよ！」と僕らに向かって言う。

僕は「分かった」と頷いて、ティムの後をついて避難所に向かった。

「カナタ！エリカ！」

避難所に戻ると、僕らの姿を見つけた村長さんは二人に駆け寄る。そして、村長さんは安心したような顔をしたあとカナタさんとエリカさんを抱き締めた。

「無事で良かった……心配したんだよ」

「ごめんなさい」

2人は、同時に謝る。少し経ったあと、村長さんは僕と目を合わせた。

カナタさんとエリカさんから離れて、立ち上がった村長さんはぺこりと頭を下げる。

「この度は、モンスターを討伐して頂きありがとうございました。依頼して良かった……助かりました」