バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
家の玄関にたどり着き、警官がチャイムを押した直後に航が扉を乱暴に開けた。
見たことのない航の青ざめた顔を見て、すみれの胸はつぶれそうに痛んだ。
自分がとんでもない失態を犯したことに気付いたけれどもう遅かった。
「どうも。野口さんですよね。すみれちゃんをお連れしました。」
「お手数かけて申し訳ありませんでした。」
航がそう言って深く頭を下げるのを、すみれはぼんやりと眺めていた。
「いえいえ。とんでもない。すみれちゃんも反省しているようなので、あまり叱らないであげてください。すみれちゃん、もう叔父さんを心配させちゃ駄目だよ。」
「すみれ。お巡りさんにお礼を言いなさい。」
航の声にハッとしたすみれは「ありがとうございました。」と言って頭を下げた。
警官が帰っていき、玄関ですみれは航と向かい合った。
と同時にすみれの頬が熱く痺れた。
航に頬を打たれたと気付き、すみれの目からぽろぽろと涙が溢れた。
航の顔は怒りと悲しみに震えていた。
泣きたいのは航の方だとわかっているのに、すみれの涙は止まらなかった。
すみれの肩を航が両手で強く掴んだ。
「どれだけ俺が心配したか分かってくれたか?!こんな夜更けにひとりで外をふらつくなんて・・・お前が思っている以上に世の中には悪い大人が沢山いるんだぞ!」
「・・・・・・。」
「今までどこで何をしていた?」
「駅前のファミレスで・・・チョコレートパフェを食べてました。それからずっと駅前の広場のベンチに座っていました。」
「誰かに何かされなかったか?」
すみれは首を横に振った。
「そこでお巡りさんに声を掛けられて・・・」
それを聞いた航はやっと安心したように、大きく息を吸いそれを吐き出した。
「何もなかったから良かったようなものの・・・すみれにもしものことがあったら、俺は・・・。」
航は懇願するような目ですみれをみつめた。
「もう二度とこんなことをしないと誓ってくれ。そうでないと、俺は心配で夜も眠れない。」
「ごめんなさい。もう二度としません。ごめんなさい。」
そう泣き崩れるすみれを、航はきつく抱き寄せた。
「・・・何があったんだ。どうして家出なんてした。この家に住むのが嫌になったのか?俺が嫌いになったのか?」
「違う。そうじゃない。」
すみれは航の腕の中で首を横に振った。
「・・・話してくれないと何もわからない。俺はすみれを理解したいんだ。」
すみれはとうとう覚悟を決めて、航に本心を打ち明けた。
「私と航君、結婚出来ないって、叔父と姪は結婚出来ないって・・・みゆきから聞いて・・・自分でも調べて・・・私はずっと航君と一緒にいたいのに・・・。」
「すみれ・・・。」
すみれの必死の訴えに、航はしばらく言葉を失っていた。
そんな航の様子を見たすみれは、自分の想いを告げてしまったことを激しく後悔した。
うさぎのように震えるすみれに、しかし航は何でもないことのように穏やかな声で諭した。
「じゃあこうしよう。俺はすみれが俺以外の誰かと結ばれるまでは、他の女の事を好きにならないし、絶対に結婚もしない。ずっとすみれのそばにいる。それなら文句はないだろう?」
「・・・うん。」
でも私は絶対に他の誰かと結ばれたりなんかしない。
だから航君は私とずっと一緒にいてくれることになる。
もう航君は私だけのものだ。
すみれは心の中でそうつぶやきながら、航の胸にしがみついた。
見たことのない航の青ざめた顔を見て、すみれの胸はつぶれそうに痛んだ。
自分がとんでもない失態を犯したことに気付いたけれどもう遅かった。
「どうも。野口さんですよね。すみれちゃんをお連れしました。」
「お手数かけて申し訳ありませんでした。」
航がそう言って深く頭を下げるのを、すみれはぼんやりと眺めていた。
「いえいえ。とんでもない。すみれちゃんも反省しているようなので、あまり叱らないであげてください。すみれちゃん、もう叔父さんを心配させちゃ駄目だよ。」
「すみれ。お巡りさんにお礼を言いなさい。」
航の声にハッとしたすみれは「ありがとうございました。」と言って頭を下げた。
警官が帰っていき、玄関ですみれは航と向かい合った。
と同時にすみれの頬が熱く痺れた。
航に頬を打たれたと気付き、すみれの目からぽろぽろと涙が溢れた。
航の顔は怒りと悲しみに震えていた。
泣きたいのは航の方だとわかっているのに、すみれの涙は止まらなかった。
すみれの肩を航が両手で強く掴んだ。
「どれだけ俺が心配したか分かってくれたか?!こんな夜更けにひとりで外をふらつくなんて・・・お前が思っている以上に世の中には悪い大人が沢山いるんだぞ!」
「・・・・・・。」
「今までどこで何をしていた?」
「駅前のファミレスで・・・チョコレートパフェを食べてました。それからずっと駅前の広場のベンチに座っていました。」
「誰かに何かされなかったか?」
すみれは首を横に振った。
「そこでお巡りさんに声を掛けられて・・・」
それを聞いた航はやっと安心したように、大きく息を吸いそれを吐き出した。
「何もなかったから良かったようなものの・・・すみれにもしものことがあったら、俺は・・・。」
航は懇願するような目ですみれをみつめた。
「もう二度とこんなことをしないと誓ってくれ。そうでないと、俺は心配で夜も眠れない。」
「ごめんなさい。もう二度としません。ごめんなさい。」
そう泣き崩れるすみれを、航はきつく抱き寄せた。
「・・・何があったんだ。どうして家出なんてした。この家に住むのが嫌になったのか?俺が嫌いになったのか?」
「違う。そうじゃない。」
すみれは航の腕の中で首を横に振った。
「・・・話してくれないと何もわからない。俺はすみれを理解したいんだ。」
すみれはとうとう覚悟を決めて、航に本心を打ち明けた。
「私と航君、結婚出来ないって、叔父と姪は結婚出来ないって・・・みゆきから聞いて・・・自分でも調べて・・・私はずっと航君と一緒にいたいのに・・・。」
「すみれ・・・。」
すみれの必死の訴えに、航はしばらく言葉を失っていた。
そんな航の様子を見たすみれは、自分の想いを告げてしまったことを激しく後悔した。
うさぎのように震えるすみれに、しかし航は何でもないことのように穏やかな声で諭した。
「じゃあこうしよう。俺はすみれが俺以外の誰かと結ばれるまでは、他の女の事を好きにならないし、絶対に結婚もしない。ずっとすみれのそばにいる。それなら文句はないだろう?」
「・・・うん。」
でも私は絶対に他の誰かと結ばれたりなんかしない。
だから航君は私とずっと一緒にいてくれることになる。
もう航君は私だけのものだ。
すみれは心の中でそうつぶやきながら、航の胸にしがみついた。