バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
そして航による大原の身辺調査のようなものが始まった。

「君はすみれのどういう所が好きになったんだ?ルックスか?それともちゃんと内面を見てくれているのかな?」

大原は少し考えたあと、しどろもどろになりながら答えた。

「・・・僕は野口さ・・・すみれさんの優しくておもいやりのある性格に惹かれました。自分以外の人間の心の痛みを半分引き受けてくれる・・・すみれさんはそういう人です。僕はそれで何度も救われました。もちろん外見も可愛らしくて僕にはもったいない女性だと思います。」

「そうか・・・。君はすみれの内面もよく理解してくれているようだな。」

航はそう言って何度も頷いた。

その後も航は大原の趣味や好きな食べ物、運転免許証の有無まで細かく質問し、大原もそれにたどたどしく答えていった。

そんな航と大原の問答をハラハラしながらすみれは聞いていた。

大原君、ごめんなんさい、と心で謝りながら・・・。

「さて。大原君のご家族はどんな方達なのかな?」

「はい。父は設計技師をしていまして母は専業主婦です。父は少し神経質なところがありますが、家族思いで僕が小さい頃にはよく競馬場へ連れて行ってくれました。母は自宅で手芸教室を開いていまして、手先が器用です。」

「競馬場?お父上は競馬を?」

「はい。大きな賞のときだけですけど。」

「いわゆるG-1レースというヤツだね。天皇賞、皐月賞、有馬記念、宝塚記念、ダービー・・・。それら全部?」

「あ・・・全部かどうかはちょっとわからないですけど。」

「まあお父上のことはいい。君はどうなの?ギャンブルはやるの?競馬やパチンコにハマったりしてない?」

「いや、一切しません。」

「ならいい。ギャンブルで金遣いが荒い男とすみれを交際させるわけにはいかないからな。・・・あと、これは一番大事なことだが、キャバクラや風俗へ行ったりはしていないだろうね?」

「い、行ったことありません。」

「航君!大原君は真面目な人だよ。そんなことするわけないでしょ!」

すみれが思わず口を挟むと、航は厳しい顔をして言った。

「すみれは黙ってなさい。こういうことは初めにちゃんと確認しておかないと、後々泣きをみるのはお前なんだぞ。」
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